黒姫便り 14.04.08.

まだ雪が残っているものの春がやっと訪れました。眩く包む陽光は身体を動かし続けると暑さをも感じるような、森じゅう燃えるような暖かさになってきました。そんな今日、ビックリの出逢いです。

私はだれでしょう

山荘の手入れを終え梯子を片付けようとふと足元を見ると、なにやらネズミのような小さな生き物が、屋根からの落雪の山をよじ登り雪をなめています。動作はのろく人間を恐れてはいないようです。ネズミのような、しかし背中に黒いすじがあり、しっぽがリスのようにふさふさと毛が生えている、手の中にすっぽり納まるような小さな生き物、これはネズミではなさそうだ。とっさには名前が浮かんできません。どこに行くのでしょうか、雪山を登り終え落ち葉の地面に出ました。葉を少しかじり、水溜りで水を飲み桜の根元のくぼみで、未だ眠いのか丸くなりかけましたが思い出したように進み、私道の方に向かったので、そっと手に取ると暴れるわけではなくセーターをよじ登ってきたので、一瞬こちらのほうが緊張してしまいました。暖かい玄関脇の薪置き場の安全な場所に移動させました。薪をかじってのんびりしていたようです。実は名前がすぐに思い出せなかったので急いで本を見に行き、目を放した隙にどこかに消えてしまいました。びっくりしました。山荘に来て初めての出逢いです。そうです、ヤマネ、山のネズミが寝ぼけ眼で冬眠から起きて来たのです。ヤマネは天然記念物に指定されているそうです。この山荘のどこで冬眠をしていたのでしょうか、巣があるのでしょうか、家族はいるのでしょうか。ネコやヘビに食べられないように安全な場所にヤマネの小屋を作ってやりたい気持ちになりました。

雪山をよじ登る 雪をなめている
まだ眠いです 薪をかじっています

留守にしているうちに給餌台のヒマワリは空っぽ、補充したものの時々ヤマガラとシジュウカラが来る程度でリスの訪問はないようです。味を覚えたはずなのに餌場には来ていません、が必ずまた現われることでしょう。

昨年の巣箱はたった一箱のみ営巣、鳥にとって異常な気候だったようです。今年はどうでしょうか。今まで通り4個の巣箱と新たに入り口の大きな写真左のキビタキ用と写真右の棚状のオオルリのための巣箱を架けてみました。ひょっとしたら巣を作るかもしれません。ほとんど冗談ですが、森の楽しみの一つです。玄関上に取り付けた巣箱の脇で作業をしたところ、シジュウカラとヤマガラが取り合いをしてジイジイジイジイとけたたましく鳴き合い大騒ぎをしていましたが、翌日は見向きもしません。大げさにしていたのにどうしたことでしょうか。

キビタキの巣箱 オオルリ用巣箱

まだ芽吹きは始まりませんがフキノトウはつぼみを膨らませています。森の雪は斑模様。除雪の雪山は3mほどの高さ、雪は底の方から痩せていくように溶けていきます。雪融けでも地面はカラカラに乾燥しています。

ある朝方、小鳥達が幼稚園のお遊びの時間の大騒ぎのように森中けたたましいほどの鳴き声、騒々しさに驚かされました。シジュウカラ、ゴジュウカラ、ヤマガラ、アトリ、アカゲラ、アオゲラ、イカル、クロツグミ、ビタキ系、などなど、とくにアトリの集団が大騒ぎしていたようです。昼間ではキジは犬が首を絞められたようにキャンギャンカンと鳴き、夜中ではトラツグミがピーピーと鳴き、不気味な感じがします。森全体が春の喜びを力の限り表しています。のんびりとウグイスが鳴き、今にこの暖かさで一斉に木々は芽吹くでしょう。芽吹きの音が聞こえそうです。

冬場に大事にしていた白樺が倒れ後片付け、根元をきれいにチェーンソーで切断すると、その切り口から水が滴り落ち明け方の冷え込みで凍りつき美味しそう、口に入れると冷たい氷、口の痺れやかぶれはありませんでしたが甘さは感じられず、単なる水のよう。木々は力強く芽吹きを向かえ活力を吸い上げているのだと、ひしひしと感じられました。

今年の雪は湿った重い雪だったせいか、白樺が倒れただけではなく、我が家の白樺3本の梢が折れ、次第に白樺が滅びていく状況になっています。

玄関上の巣箱には相変わらずけたたましいジージーという激しい鳴き声聞こえてきますが、どうやらヤマガラがもわっとした毛のようなものをくわえ巣を作っているようです。上手く雛が育つと良いのですが。

人間界では次から次へと問題だらけ、どろどろとした人間の絡み合いが本質を見失って虚偽の世界であらゆることがうねりあい救いようのない動き、何を目指すか、皆それぞれ、だがそれが解らない、、、、、、、、、、、、、まあ、このところいい天気が続く、ありがたいことです。