黒姫便り 10.08.20.

下界は猛烈な暑さで多くの方が熱中症で倒れると聞きますが、ここ標高800mの森も今年は暑く感じます。とは言っても気温は30℃止まり。贅沢な話です。夜は23℃前後と、しのぎやすい毎日が静かに流れています。

森の空気は木々が吐き出す息が肌を包みしっとりとしています。森の呼吸は、たっぷりと水分を含んでおり、朝晩の温度差で明け方の天窓には露がかかり、窓から覗く白樺に群れる小鳥達が淡く夢の中にいるようにまだらに見えます。今年生まれた鳥達がもう冬を意識してか群れ飛んでいます。時折幻聴かアカショウビンの声が耳をかすり、あわててカメラを抱えて飛び出すことがありました。近くに巣を作ったのかもしれません。

しかし、この暑さは森の木陰から外に出ると、いきなり焼け付くような太陽で夏の力強さを感じさせられます。牧場の子牛たちは口蹄疫騒動を気にしてか人気から遠く離れて、こちらを一斉に向いてくれます。緑のトンネルは涼しそうですが昼間は風が通り抜けず少し暑く、薄暮は熊さんに逢いそう。

勝手に育ての畑では梅雨時の豪雨で葉物は不作でしたが、キュウリ、ズッキーニはまずまず、モロッコインゲンは不出来、トマトは珍しく大きな青い実をつけたまま、まだ赤くなりません。8月初めに蒔いたダイコンがやっとダイコン葉らしく茂り、ブルーベリーは一瓶のジャムが作れました。ささやかな土の恵みを甘受しています。

今夏は各種アゲハ系の蝶が多いようです。夜になると蛍が森の中を飛び交うのですが、7月末の梅雨明けの一時期だけで見えなくなりました。林道の舗装の影響ではないでしょうが。山荘の側の沢には岩魚が確認出来ましたので水は大丈夫でしょう。白いのはテング系の毒キノコ。そうそう、別荘地の新しい住人と話をすることができました。だんだん賑やかになるのでしょう。リスの姿は見えませんが松ぼっくりのえびの天ぷらが転がっているのでこの辺をうろついいているのは確かです。時間を掛けてヒマワリの味を覚えさせてベランダの給餌場に呼び戻しましょう。

ログで一番の問題は木材の腐食です。乾燥さえしていればいいのですが、ご覧の通りの有様。雨や霧で、ベランダの手すりのログがボコボコになってしまいました。荒療治として腐った部分を削り出し、クレオソートをたっぷり吸わせ防水剤を入れたモルタルを流し込んで修理してみました。強度的には問題がない場所なので、木材の腐食が進行しなければ成功ですが、果たして修理の程は?エポキシ系樹脂で埋めるのが常道らしいのですが材料がありません。失敗ならログ材を部分的に交換しましょう。

基礎土台のコンクリート壁に囲まれた半地下の地面の一部を昨年モルタルを貼りました。冬場は床が乾燥して具合が良かったのですが、夏場、床が濡れているのです。湿度が90%位の環境、結露による水か、モルタルが水を吸い上げたのか、いずれにしても、モルタルの断熱か防水か、少し研究をしてみましょう。ログハウスを維持するには色々な問題が発生し、嫌というほど楽しめます。

それにしても、日本人は空ろな目をしたお人良しで流れに任して漂う人種なのでしょうか。議論して決定して行動しろ。こんな掴みどころのない今は、実は若い人たちの絶好のチャンスです。目標が無い時こそ、今自分が思うことが目標になり、新しいことが生まれる時代です。ワクワクする世界の到来です。なんて思いながらログ材の行く末を考えています。