黒姫便り 07.05.07.

連休は待ちに待った山菜を目指して山荘に何人かが訪れてくれます。春の一大イベントです。

暖冬だったとはいえ、なかなか春の姿が見えず、5月1日、飢えた客人と森をさ迷い、コシアブラを捜しますがまだ小指の先ほどの大きさ、もう1日待てば食べられるかもと我慢して取らず、なんとか食べられそうなコゴミを、おひたしに、夜は薪ストーブに火を入れ暖を取り、よく見ると先週セットしておいた最高最低温度計は−2℃から18℃を指しており、まだ冬の寒さが残っていました。

5月2日のコシアブラ、葉はどのような形だろうか。 まだ引き締まったタラノメ、まるでドングリみたい。
倒れ木 リス
 翌日ずいぶん暖かくなり、芽吹きの兆しが見えてきました。森の中で見つけたタラノメは、まだどんぐりのよう、その中でも少し開きかかった物を採りながら、小さいのはまた明日大きくなって採ればと心で思っていながら手は自然と芽をもいでしまう強欲さ。コシアブラも少し膨らみ出し木の先端の育った物を採り、やわらかなヨモギを採り、庭のギョウジャニンニクを集め、花が開いたフキノトウの先端を、伸びきったツクシの中から若いのを採り、さあ準備が出来ました。華やかな山菜天婦羅会の始まりです。例年ならヤマブドウの若芽も材料になるはずですが、芽吹いていません。

そんな山菜採りの集団がこの連休中森を徘徊、山荘周辺のコシアブラの木は初陣は丁寧に先端の大き目の芽だけを採取するものの、次に来た者は一つぐらい残して置けば良いかと、丸坊主を気にしながら芽を摘み、ああコシアブラはどうやって大きくなれば良いのでしょうか。なめる様にコシアブラは攻められ芽をなくしていきました。ちょっと大げさですが来年が心配です。

ヤマコブシの白い花が咲き、大山桜のピンク色が山を飾り、その花も散り始め、日に日に淡く霞みがかった緑が濃くなり、山荘は若葉に覆われ陸の孤島になりそうです。

給餌台には珍しくシメが、いつもの様にカケスが、おどおどとアカゲラが、相変わらずのシジュウカラ、ゴジュウカラ、コガラ、ヤマガラ、そしてリスがヒマワリを、消費量は減りましたが食べに来ます。

そんな鳥の中でつがいのラブラブのヤマガラに出会いました。なんと、小さ目のヤマガラが羽を震わせてヒマワリを催促をするのです。今の時期はまだ子供は生まれていないはずなので多分メスでしょう。オスらしきヤマガラは餌場のヒマワリをくわえて夢中になって殻を突ついて破り中を取りだし、それを急いで運び口移しするのです。何回も何回も。信じられますか。

森はオオルリやホオジロ、ウグイスや様々な鳥の賑やかなさえずりに包まれ新芽が若葉になり越冬した蛾が舞い冬越したさなぎがかえり、虫が産まれ飛び交い、たんぱく質の餌が増え、小鳥達は巣作りを始めることでしょう。そろそろ小鳥達の子育てに時期に入ります。

山菜はゼンマイにワラビにヤマウドなどなど他の区別のつかない難しい山菜が芽を出し、山菜採りの専門家の時期になります。


5月7日採取のワラビ、ゼンマイ、タラノメ、葉の出た食べごろの数本のコシアブラやハリギリの芽が美味しそう。淡い緑の森は次第に濃さを増し緑が山荘を覆い、いよいよ陸の孤島化の始まりです。そう深い緑に包まれて隣近所が見えなくなるのです。
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