晴れました 皆既日食


この2日間は良く揺れたが今朝は静か。とうとう迎えた本番、海を見に行くとく水平線上は雲があるものの、上空は青空、久しぶりの晴れ間だ。

デッキは混雑が予想され、三脚使用者は安心して観察できるようにと有料区域(3500円)が120席近く用意され、抽選で場所が決定された。参加者は僅か50人弱、くじ運が良かったせいか、ジャグジーの手前のエリア。Nと友人も壁を背もたれにリラックスして皆既日食をピクニック気分で楽しむことができそうだ。

予想に反して日食は人気がないのか、まばらな参加者。これは意外だった。そう言えば、明日のイベントは何があるんですかと聞く不届き者がいたっけ。こっちとら、このために船に乗ったんだ、と叫びたくなる。天文現象なんて別にーー、なんて言う人がいる事を知った日になった。宇宙が在って自分が在るなんて考えたことがない人たちなんだろう。

午前8時、太陽はくっきり、写真写りはピントが合い調子良い。欠け始め、第一接触、船内放送でカウントが始まり皆既日食に何分後と案内、心が躍る。PB支給の日食眼鏡は具合が良い。帽子のひさしに眼鏡をガムテープ貼り付け、上目使いで太陽を見る。細くなり、さらに細くなり始めたころ、風が冷たくなり周りに雲が湧き始めてきた。心は躍る。

厚紙にパンチャーで穴を開けて、欠けた太陽を壁に投影、欠けた模様を無邪気に楽しむ。益々細くなる。

第二接触ここだ、フィルターを外しシャッターを構える。ここからは肉眼で見なければ何も見えない。

眼中に黒い雲が迫ってくる。鮮やかに輝くダイヤモンドリングがとカメラは狙うが、一瞬雲が覆い悪夢がよぎる、外側の雲の僅かに輝き彩雲のように見えたが、太陽は雲の中。

ああ、残念、周りからため息が、がその瞬間、雲が薄くなり、突然黒い太陽が現れ、劇的にコロナが走る。明るい、くっきりと見える。

左手に金星、上方にシリウス、太陽の周りだけ薄雲が、コロナの光が雲に反射して全体にボケ気味、カメラの焦点があやふやに動作して画像が安定せずシャッターが切れない。

周辺は思ったほど、暗黒にならず、意外と明るい。何故か。水平線の色合いはデッキのガラスに色がついているため、観察できなかった。話ではピンクがかっていたと言う。

撮れた写真はこの程度、我慢して。

皆既15分前の気温25℃62%、皆既中24℃64%確かに気温が下がった。黒い太陽は3分40秒、やはり短い。皆既が終わる最後の閃光、ダイヤモンド光は雲に隠され、皆既は終わり細い太陽が現れる。次第に明るさが戻り、皮肉にも雲は流れ、晴れ間が広がる。

船上では拍手が沸き起こるが、素直に喜べない。太陽が欠け上空が冷やされ、海面は暖かいので、上昇気流が起こり雲ができやすくなるのかなあ、と無理やり考えを押し付けて、一抹の悔しさをなだめる。しかし、待てよ、もしこれでコロナも見られなかったら、もっと惨めだと気を取り直し、感謝、感激、感謝。

生まれて初めての皆既日食、貴重な経験として心に刻もう。こんな経験をのんびりとデッキでくつろぎながら、広々と楽々と楽しめたことは、有難い経験だった。感謝のみ。