先住民族「エンべラ族」の人々と出会う、ツアーに参加


ここパナマ運河の入り口、クリストバルに昼過ぎ着岸。運河に入る順番待ちに停泊、翌朝出航予定のこと。

大変治安の悪い町で港の管理区域から出るのは危険ということで、交流のツアーに参加した。

エンベラ族はパナマとコロンビアの国境付近に居を構えていたが、身の危険を感じパナマの密林に移住して、今までの文化を守り通している民族だそうだ。生活の糧としてか、文化交流を図るためにPBもお手伝いしたとか、観光に乗り出したとのこと。

総勢90名、警察官も同乗のバス3台に乗り込み、町の雑踏を抜け、高速道路を快走、わき道に入り、枝をこすりながら一時間程でガットゥン湖につながる、湖というか沼というか川というか、水場に着く。

ここから船で40分ほどで集落に着くという。長さ12,3m幅1m50cm位のスズキの船外機を付けた木造船に、救命胴衣を身に付け乗り込む。湖の水はぬるいが、軽快に走る船の風が心地よい。

ガットゥン湖はパナマ運河のために作られた、中央部の大半を占めている人工湖で、集落や鉄道が湖底に沈み、この水路にも朽ちた木々が立ち枯れて、墓標のように立つている。岸辺を良く見ると、バナナやトウモロコシが栽培されている。

この時期水量が少ないという。この水は運河の上下移動に貴重な水で、通行時に水の無駄がないように工夫しているという。まあ、そんな水路を移動、エンベラ族の集落に到着したかと思うと、もう一度船に乗り換え、2,3分、陸地に。赤土の道は踏み固められており滑りやすい。遠くで雷が鳴り、雨になったら滑って泥だらけになり、悲惨な目に合うと心配するが、冷たい風が通り過ぎるだけで無事。起伏のある森の道を、自然環境を観察しながら進み、やっと集落に到着。初めての場所なので遠く感じた。

部落民が裸に近い姿で迎えてくれる。今日は着飾っているが、普段はもっと簡素だと言う。テーブルに展示された装飾品は各家庭で製作されたもので、工夫を凝らしたもの、手の込んだものなど少し値が張る。ツアー客は思い思い交流を計っている。

大きな屋根の立派なかやぶきで赤土の土間のドームの広場で、長老の挨拶などセレモニーがあり、歓迎の踊りや交流の踊りが行われ、我々からは若い人達のヨサコイ連の踊りや、炭坑節の盆踊りを披露し楽しんだ。掘って掘ってまた掘って、担いで担いで後もどり、押して押して、ちょちょいがちょん、とか一夜漬けの盆踊り、歌のリズムにお構いなし。

集落の見学会があり、素朴な住まいを見て回る。水は、観光客用のトイレは水洗で、どう処理されているかは聞かなかったが、水は何処からか引いているようで塩ビの配管が地面を這っていた。電気は見当たらない。太陽光パネルもない。夜はランプかも知れないが、見えなかっただけか。炊事洗濯の様子は分からない。学校は小学校だけで、運動場が有り、サッカーゴールも鉄棒もシーソーも有り、町から先生が来ると言う。

若者が子供たちと風船やシャボン玉やけん玉やボール遊びで無邪気に遊んでいた。

部族の自分たちの生活をさらけ出すことにより生活の糧を生んでいるのだろう。農業は自給自足か、トウモロコシ、バナナ、野菜などを作り、鶏は放し飼い、牛もいた。多分色々な農業をやっているのだろう。

PBの交流ツアーと言っても上辺だけだが、ほんの少しだけでも、生活が伺えて興味深く、普段の観光とは違った感覚が得られた。

夕食は何かのでん粉を棒状餅状にしたもの、テラピアのフライ(とても美味しく頂く)、鶏肉のフライ、バナナ、パイナップル、オレンジ、パッシオンフルーツなどをバナナの皮を巻いた器で頂くという指向、野趣味あふれている。短い時間だったが楽しみ、交流で疲れた。

早、夕暮れが迫り、お年寄りの30名はこちらからと誘導され、正面の桟橋のような木道脇を進むと水路が見えてきた。ここから帰れるらしい。行は村の生活を少しでも味わえるよにとの配慮からか森を歩かせたのかな。

2隻のボートに乗り込み、元気な方は来た道を戻り、一足先に年寄り組は帰路につく。

湖面は闇に包まれ、南十字が輝き、薄明の空を反射して湖面が輝き速度を上げ、巧みな操舵で、何度か大きく傾き、賑やかなばあさんが悲鳴をあげ、騒々しいなか、バスの待つ岸に30分ほどで到着。近く感じた。

岸辺は真っ暗、何やら白いものが。蛍が無数に飛び交う、今年、初蛍となった。スマホのライトに照らされて、冷房の効いたヒュンダイのふにゃふにゃクッションに潜り込む。たまにはこんな観光も良い。

バスは漆黒の山道をぬけ高速道路に入り、薄暗い道路に人がたむろする港にたどり着いた。多少門限まで時間があったので、脇のショッピングセンターに足を延ばした。

金網に四方囲まれた薄暗い2m幅くらいの通路を100mほど歩き店舗街に入った。大勢で賑わっており、パブの客はコパアメリカのサッカー中継に夢中になっていた。買い物は無く、WIFIは繋がりにくいので、ざっと見学して、また暗闇のフェンスに覆われた通路を足を引きずりながら帰船。短いようで長い一日だった。

空が時どき光り、雷雨に遭わなかったことに感謝。パナマ市街に出かけたツアーは雨に降られたそうだ。南十字星が船を見下ろしいた。