船内の様子


ペナン島を後にスエズ運河を目指し、2週間の長い航海の始まりだ。マラッカ海峡を抜けインド洋に出て、セイロン島方向に直進、僅かの揺れで船が動いていることを感じさせるが、静かな海だ。イルカに出くわす人がおり、トビウオや大型の海鳥を楽み、中にはクジラがいたとか、マグロが跳ねたとか、好き好きに勝手な事を言っている。夕日になると、大勢の人が集まり、非日常的な毎日を過ごしている。日が暮れ暗くなるとデッキでは思い思いに星空観察、南十字が昇り始めた。北に北斗七星も高く良く見える。行けなかったコロンボの方向を右手に見てインド洋を突っ切り、アデン湾コンボイ集合地点まで足を進める。未だソマリア沖は海賊対策が必要で船内光が見えないように黒いカーテンを張りめぐらし、5月9日から夜間デッキへの外出が禁止された。早朝自衛艦アサギリが並走して、アデン湾を航行。コンボイはどうもこのPB一隻のみで、贅沢なお伴だ。哨戒機が一機飛び去る。

5月12日自衛艦に別れを告げた途端、早朝、海賊到来、暗号の合言葉「ブラボータンゴ」の放送。けたたましく汽笛が短音5回?発せられたはずだが、船室内ではまったく聞こえない。とにかく警戒態勢に入る。乗客は直ちに船室内避難の命令あり、何かを期待するが、しばらくして安全が確認されたと放送、日常に戻った。レストランが中断したため大混雑、長蛇の列。発端は小さなボート2隻が船に接近して来たらしく、警告で離れて行ったので解除とのこと。

乗客は大勢の中国の方が乗船され、中国語のことを中文と言うそうで、知らなかった。船上は賑やかで騒々しく、せかせかとして落ち着きがなく、いわゆるピースボートしている。意欲的な方が多数、老齢化が進んでいるが若さに満ち溢れている。健康志向が強く、文化活動も盛りだくさん、狭い場所でひしめき合って優雅さはあり得ない。着飾ったピカピカの靴を履いて社交ダンス愛好家がフロアーの隙間を見つけて練習に励んでおり、楽器群は尺八、琴、三味線からサックス、フルート、笛オカリナ類、ギター、ウクレレ類音がひしめき合い、何でもござれの活力に満ち溢れ音楽性はない。活動エリアが少なく狭いのが原因。ホール等のレイアウトを見直すべき。下手にいじると船が壊れるかな。ハイテンションの塊だが、寄港地が多くなれば落ち着くだろう。

自分は英語の響きが分からないくせに、通訳の話し方に何だか国訛りがあるように少し気持ち悪く感じる。あるいは、通訳の個性なのかもしれない。日本語も人によって変だし、敬語が気になる。言葉は難しい。これもPBしていると言っていいのだろう。

あらゆる面で進化のないPBでも、私は皆既日食さえ見られれば満足。これで陣取り合戦が起こったら、困るな。多くの人は皆既日食なんて知らない、興味がない、そんな人たちが、公開講座で煽られてにわか天文愛好家になる恐れがある。心配だ。船長が観測可能デッキをどの程度解放してくれるのかが問題だ。現在、まだ咳、タンで空気の悪さを味わっている。さて、ここで違った視点で述べてもらおう。Nにバトンタッチ。

乗船者 最高94歳 最若2歳で 80歳代45名、70歳代250名、60代-290名、50代-60名、40代−24名、30代−44名、10−20歳代213名、子供15名、この合計は941名 横浜から乗船した台湾のグループは約100名、残りは香港から乗船した中国本土からと香港の人々で乗船者数は約1,100名とのこと。 男性45%、女性55%、リピーター約2割、一人参加6割、国籍17か国。クルー250名。レセプションに2回訪ねて 教えてもらった。爺さん婆ーさんが孫を連れて乗船が3組。偉い!モンテッソーリ教育の理念のもと 子供の家が開かれている間 保護者は各々の行動を満喫している。

水回りの器具は新しくなり まだまだこの船を使用するであろう気構えが、あちこちに見て取れる。 そうそうテレビも我が山小屋より大きく 日本、中国、韓国の映画のチャンネルや 一日中BBCのニュースが流れており、映画も ボヘミアンラプソディー、This is it、オペラ座の怪人等 日本で既に見ていても 又かぶりついて見た。

食事は数段に良くなり洋風、日本食の他に 中国、韓国 と美味しい。乗船者数が多くなったお陰か(?)

トレーニングルームの係のペルー人が「何故日本人は毎日、日の出、日の入りを見るのか?」と聞く。「太陽は神さま、仏様」と説明したが ちょっと嘘かな(?)「ペルーでは見ないの?」と聞くと「全然}と。香港以降、日本人だけじゃないと判ったらしい。(N記)

多くの中国人は紳士的で静かだが、日本人も同様だが品が頂けない方もいる。どこでも同じだ。相変わらず至る所で修理補修を行って乗客を追い回している。船腹に穴が開いて皆既日食に間に合わなかったら悲劇だ。

照りつく太陽が紅海で真上になり影が最小に殆ど影がなくなる。

何処の国の人も日の出日の入りは人気がある。水平線にある太陽なんてめったに見られないもの。