春の海、静かなれど陸不穏


大阪を出航し翌日やっと四国、和歌山間を抜け右手に大隅半島、左手に種子島、屋久島などの島影を見ながら東シナ海へ、この辺りから船は少し揺れ始めた。ベッドに横になると、軽く突き上げがコンコンと感じ、稀に体が縮められ伸ばされる気持のよい動きを感じる軽やかな揺れ。大きな機関を積んだこの乗り物は小刻みに振動しポンコツ船の貫録を示している。とは言うものの揺れは小さく海は穏やかで驚くほどの静かさだ。

客船の習わしとして正装をしてディナーを楽しむ行事があるが、この船では、お洒落をして楽しもうに変わり、ある種の気取りさは無くなったが、ワインが出るのでネクタイは締めた。

スリランカはコロンボでテロ事件発生、大勢の方が死傷され心を痛めているが、5月5日予定された寄港は中止となり5月2日にマレーシアのペナン島に変更になった。旧英国領の要塞島で東洋の宝石箱とか。その後2週間の洋上生活は厳しそう。大航海時代の気分になってゆっくりとした時間を楽しもう。

島影から朝靄の中に高層ビルが浮かび活力に満ちた香港が迫ってきた。

ここでは自由行動、午後2時過ぎから下船可、翌日午前8時門限ということで、澳門(マカオ)へバスで渡りフェリーで帰るという計画を立てた。

事前にネットで調べたが気の利いた情報が見つからず断片的な情報で計画、東涌駅から路線バスB6で香港口岸へ、そこから連絡バスで澳門口岸で澳門へ、市内バスでセナド広場へ、周辺を散策、フェリーで帰路を決行。

上陸許可が下りた時点で急ぎ下船。我々は香港から出国して澳門に入国とのことパスポート持参、150米ドル両替。

シャトルバスで繁華街に到着。インフォメーションで聞こうと気軽に出かけたが見つからない。地下鉄乗り場が見つからない。矢印があるものの、どこを指すのか解らず、周りをうろうろ、なんとか乗り場を見つけ、路線図はネットで手に入れていたのでコースを見ると、観塘駅が出発点で、乗り換え2回で東湧駅へ行けばなんとかなりそうだ。楽勝の気配。

切符の購入は自動券売機で100香港ドルまでOKと表示されていたがダメでもたつく。電車に乗れば周りの若い人がいきなりスマートに席を譲ってくれ感謝。日本との違いを感じる。東湧駅到着、トイレ探索、お店の人が教えてくれる。発見、便器はTOTOできれい。ショッピングモールの案内でバス停B6を聞くが、聞きまくっても、なかなかたどり付けない。無情にも時は待ってくれない。バス停は方々に在り難しい。

無事香港口岸に到着、切符シニア割引で2人で66香港ドル。安い。香港を出国、2階バスで30分程で長い橋とトンネルをくぐり澳門へ。入管審査を経て入国、澳門だ。

旧市街行101Xバス停をやっとのことで探し、セナド広場はどこで降りるか聞くと、若者が丁寧に教えてくれる。その漢字表示に集中して下車。

30℃を超える暑さと人混みに揉まれ右往左往で目的地に到着。道が分からない、貴金属売り場のお兄ちゃんがスマホを屈指して音声翻訳機能で探してくれる。格好の良い道案内のポールがあっても、すっきりとは理解できず到着できない。世界遺産は観光客にあふれ、ポルトガル統治時代の面影に浸る訳にはいかない、お祭り騒ぎ。

辛うじて最低限の目的の見学を終え、すっかり日が暮れ、フェリー乗り場へ行くのにタクシーを探すが見当たらない。そこで若者にバスで行く方法を、本当に丁寧に教えてくれる。皆さんスマホを屈指して探し教えてくれる。どんな人ほとんど、スマホに聞いて教えてくれる。12番でバス停はそこだよと教えてくれたが見つからない。と教えてくれた人が、違っちゃったと連れてくれるなど、親切過ぎる。目的のバスに手を振り、やっと乗り込み、カジノの絢爛豪華なイルミネーションの街中を市内バスから観光、マカオグランプリのスタート地点らしき道を通り、フェリー乗り場に到着。

切符は9時45分と1時間後だ。澳門出国手続きでカードに書き込み、フェリー乗り場には待合室に入れず案内は意味不明で、皆辛抱強く待ち、なんとか乗り込み1時間ほどで香港へ入国。次は船まで、タクシーは長蛇の列で地下鉄乗り場を探し中心街に移動、タクシーに有りつけ、巧みに飛ばしターミナルに到着0時15分。食事取れずのサバイバルゲームの終了。交通費はバス利用が安い。新しい交通手段が確かめられ、まあ満足としよう。

観光立国を目指す日本はどのように観光客に対して整備しているのでしょうか。日本人全体に分け隔てなく外国人に対してフランクに親切に心配してくれるでしょうか。香港や澳門の人々の歴史に貿易国の心の広さが身に付いているからでしょうか。島国根性丸出しが大勢を占めていたらどうなるのでしょうか。本当にどうすれば、おもてなし日本が出来るのでしょうか。心が伴わないなら、せめて得意なハード面で、生身の心が伝わらないにしても完璧を目指すことが出来るのではないでしょうか。人間心理に基づいた案内看板の作成、表示。無料WIFIサービスの充実。ハード面なら即できるでしょ。心の広さは敵を作らない教育から始めて、グローバルになるのは、無理かなー、分かんねーかなー。懐かしい言葉だ。とは言うものの、インターネットを駆使すれば良いのか。

写真はどこか想像してください。

後日談)我々は無事に帰れたものの他の人達でボラれた人もいたそうだ。マカオではタクシーはホテルから利用するというので、ボーイが手配してくれた車から何倍もの料金を吹っ掛けられたそうだ。苦労はあったが公共バスが正解だった。香港でも埠頭までは拒否されたり、到着時に高過ぎを抗議したらいきなり構内を暴走したなど怖い思いをしたそうだ。どこの場所でも雲助はいるもので、できるだけタクシーは避けたいものだ。今回飢えに苦しんだが、フェリー船内にカップラーメン程度の軽食が販売されていたとか。もう少し、目を開いてよく見ればよかった。

香港で30数名下船したが、それ以上乗船し賑やかな船内だ。