地中海から大西洋へのジブラルタル


バルセロナでショートクルーズを終えた200人ほどが下船。騒がしかった船が静かになって10日(土)はゆっくり過ごした。毎回自由行動では15000歩以上歩き回っている。船内は大勢の人が咳き込んでいる。我が3人も人並みに風邪を引いているが行動には支障がない。今朝7時にジブラルタル港に接岸、寄港初めての雨。ヨーロッパは夏時間とやらで明けておらず薄暗い。ジブラルタルの歴史は知らないがドサクサにまぎれてイギリス軍が占拠、1713年にイギリス統治となった。半島を横切る滑走路は道路が縦断しており離着陸時には30分間ほど赤信号が点き交通が遮断され、その300m先の国境を越えるとスペインとなる。英国領とはいえ車は右側通行だった。船から小雨に打たれながら20分ほどで城壁の門があり、ここが中心街となる。しっとりと濡れた石畳は朝早い日曜日というので人通りは稀だ。静かなメインストリートを目的もなく散歩、途中教会を覗くと礼拝の最中、二人は似非信者になりきってベンチで休む。雨が止み、地図を見る。少し登るとアフリカ大陸一望できるヘラクリス記念碑があると言うので、そこまで登ろうということになった。途中、いきなりTがサルの臭いがすると言う。何を言ってるのと思った瞬間、人家の立ち並ぶ道路脇の手すりに何匹かの猿がこちらの様子を眺めている。猿はエイプス(Apes)と言い昔アラブ人が連れてきたらしい。大人しく尻尾がなく、顔や尻は赤くなく物静かだ。陽は射さないが雨が上がり、ヘラクリス記念碑が建つ展望台から水平線を双眼鏡で覗くと薄っすらと対岸のアフリカのスペイン領?のセウタが確認できた。山を降り市街地に入ると雨脚が強くなり雨宿りにバーでビールや店主お勧めのブラジルコーヒーを注文。隣の親父がコーヒーとシングルグラスの透明な物を飲んでいる。甘いアニスという蒸留酒、砂糖代わりに飲むと言う。一杯貰い飲む45%。帰船リミットは14時と早いので昼食を船で食べてもいいが、現地で取る事にした。城壁門内の賑やかなレストランで港町のイギリスでは定番の熱々のフィッシュ・アンド・チップスを食べ、港近くに戦争の避難民の像を見ながら、船内持込禁止のウイスキーを懐に忍ばせ無事帰船。英国の勝手気ままな占領で出来たしっとりと雨に濡れたイギリス風の町を味わった。歴史はまったく不勉強、分からない。

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船は港内を後退して港の外に出る。カモメが船に集り、デッキではポテトチップスを手渡しで与え鳥と戯れていた。地中海に別れを告げジブラルタル海峡を西に進路をとる。海峡に入ると風が強くなり少し揺れるようになってきた。ヨーロッパとアフリカ両岸が見通せる狭い海峡だ。海峡を通り抜けると大西洋の大きなうねりが船を待ち伏せていた。