コンボイを組み自衛艦に守られ進む


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ブラボータンゴ、Bravo Tango 、と船内放送があり、船室外にいる乗客は直ちに船室に戻りドアを閉めて不審者の進入を防ぎ、窓際には近寄らないようとの訓練があった。ブラボータンゴとは略号B・T、Bomb Thrust 爆弾襲撃という意味らしい。インドはムンバイを出航後、紅海に入るまで海賊警戒海域となり、船は日没から日の出までデッキへの外出禁止となり外部照明は消され船室から光が漏れないよう海賊対策がなされた。デッキに出るドアはロープで縛りつけ、後甲板下の船尾は有刺鉄線が巻かれている。(写真2段目)ホルムズ海峡は行きも帰りも日没後となり見ることが出来なかったが、後方デッキのプールで安保関連法案反対のシュプレヒコールを挙げ撮影、アピールしたが、遥か遠くの日本には届かず本案は予定通り通過。しかしPBの良い所は、これに賛成する者も多く偏った集団ではない。

目張りして蛍光灯が外され終日外が見えない窓あり客室のドバイから乗船した住人からは苦情が出るなど、しばらくは船内が騒がしかったが数千円分のビール代で話しがまとまったらしく静かになった。

オマーン沖、海賊最危険海域に突入、18日午前8時に近辺の船舶が集合し相互に1マイル程の範囲にコンボイを組むとのこと、噂では日本国が700名近くの日本人を守る為、2隻の自衛艦で安全航行することになったと言う。午前6時には続々と貨物船やタンカーが4隻ほど集結。ヘリコプターが我々の近くまで挨拶に来てくれた。国民の安全守ってくれる海上自衛隊が頼もしく思え、海賊に逢ってみたいとか、船上はお祭り騒ぎ。ソマリヤ沖アデン湾を集団で航行。翌日19日も本船1km近く右舷側にぴったりと寄り添うように航行を見守ってくれた。双眼鏡で隊員の朝礼をやっているのか、ウオーキングをやっているのか、仕事をしているのか、働きを直に見ることができ感謝する。が、ピースボートをどう思っているのかは分らない。最近の海賊は母船から高速ボートを出し夜間攻めて来るという。自衛艦は朝夕ヘリコプターを飛ばし監視活動し事前に怪しい船を探索しているという。20日早朝船団は自衛隊仮駐屯基地のあるジブチ近海に達し、いつのまにか自衛艦は消えてしまった。それと同時か、周りにいた貨物船団は足の遅いオーシャンドリームに付き合わされ遅れを取り戻さんばかりに朝方には消えてしまった。サウジアラビアとアフリカの間、紅海の入り口のバーブ・アルマンデブ海峡を全速力で通過、午前11時半、船長より海賊対策解除の放送が有り、無事にいつもの船旅に戻った。対策中は暗く、中デッキからのくっきりと天の川が横切る星空が美しかった。残念。

朝日はともかく夕日だけは見たいが2交代制の食事の時間が早番なので夕日時間と重なる為、厳しい時がある。この海域は湿度が高く日中33度73%と肌に塩気がへばり付く暑さだ。19日の夕日は湿気の中に赤く染まる太陽。シャターを切り、拡大してみた所、偶然に雲がフィルター代わりになって黒点が写った。アデン湾に沈む太陽だ。紅海は南風が強く、海のシルクロードと言われたらしく、夏場この風に乗り帆船でインドに向ったとか、そうだったか不確かだが、そんな講座を睡魔に襲われながら聞く。一人ひとりの船旅が進む。(ヒゲ記)

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