チリ中部の都市コンセプシオン北方で27日午前3時34分ごろ、マグニチュード(M)8.8の巨大地震が発生。3月2日バルバライソ接岸中止、停泊し艀によるチリ環境案内人達の下船、支援物資を搬出、海上で給油給水のみと決定された。

2月27日、毎日海を観察している人から今日はクジラが次から次へと潮を吹いているという。まさかこの早朝、コンセプシオンで巨大地震が発生したとは、だれも想像できなかった。この地震の影響でクジラに異変が起こったのではないだろうか。その時船は1000Km離れた太平洋上を航行、地震の影響はまったく受けなかった。

3月1日、明日はバルパライソに寄港、ここは震源地から500Km位離れているだろうか、いつもなら寄港地説明会に詳細のプリントが配布されるのに今日はない。なんとなく不安に思ったが、やはり、ピースボートの状況確認では余震の激しさ、バルパライソにも死者が発生等の情報を得て接岸し観光するのは危険で、ふさわしくないと判断、上陸中止を決定、乗客の了解を得た。


我々が何か出来ることがないかと相談し合い、何が必要か現地の要望を取り付け、船からは余分の毛布と食器類、乗客からは南極観覧に用意した防寒着等を提供、また寄付金を集め、かなりの量の救援物資が集まり、老若男女協力して梱包した。

3月1日、早朝5時バルパライソ港傍に投錨。まだ夜は明け切れず丘はオレンジの街灯に縁取られ異常なまでに美しい姿を見せている。残念ながら世界遺産の町を歩くことが出来ない。被災者のことを考えると当然なことだと自ら納得させる。(つづく)



ここが世界遺産バルパライソか、双眼鏡による観光だ。地震の被害状況はまったくうかがい知れない。海岸線に沿った道路はひっきりなしに車が行きかうが、尾根へ真っ直ぐに登る道は静かでまるで眠っているようだ。舗装された路面に所々土色が出ているが、それが土砂崩れなのか、壊れそうな家屋が見受けられるが地震のせいか皆目見当がつかない。街灯の輝きから見ると静かなひなびたごちゃごちゃした街としか目に映らない。

急斜面をよじ登るケーブルカー(アセンソール)は予想していたよりも短かく感じたが、足を踏み入れた訳でもないので分からない。左上の写真左下で黄色い客車が行きかっているのが写っている。多分旧市街は海岸べり、開発は尾根まで迫り、地震がなくても危なそうな街。左手には階段状のマンションや高層マンションが立ち並びリゾートなのか信じがたい景色が広がっている。船の貨物の梱包トタンを貼り付けた粗末な家並みがセンスの良いパステルカラーで塗りこめられ美しく貧しい街と、マンション群の対比が、何処に世界遺産があるのと首を傾げたくなるのが双眼鏡による情け無い観光か。

昼過ぎ支援物資の搬出、乗客達は手分けして長い階段狭い通路重い荷物を背負いタラップに運ぶ。地震国日本の心意気、募金額日本円相当50万円強。気持ちの良い行動だ。この荷物は税関ですったもんだしたものの無事現地のNGO・CODEFFに引き渡され、きっと役に立ってくれるだろう。夕方まで給油に時間が掛かり、お陰で夜景が楽しめそうだ。朝港には豪華客船が接岸していたが今は洋上に停泊している。彼らは観光に出かけたらしい。

良く晴れたバルパライソは甲板上での観光で、さらに肌が焼け、心地よい疲れを伴いながら夕焼けを見ながら、明かりの灯った街を後にカヤオに船首を向け出港した。ここで帰船する予定だった離船組は次港カヤオで戻る予定、無事らしい。

嫌なうわさ話。船内で物品の紛失が多数発生しているとのこと、私はそんなこととはつゆ知らず、安心してラジオ、カメラの入ったデイバッグをデッキに置きっぱなしにしていた。ああ、これからは隙を見せてはいけないのかと、ちょっぴり寂しい気分になった。乗船経験者はこれ常識だそうだ。(K記)

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